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低価格ジム革命の陰りと再起への道
「今日はちょっと買い物のついでに、このままの格好でジムに寄ってみようかな」
そんな気軽さで爆発的な人気を集めた低価格フィットネスジム「チョコザップ」。
月額2,980円で靴の履き替え不要、普段着OKという革新的なサービスで、フィットネス業界に新風を巻き起こしました。
しかし、急成長の影で見えてきた課題とは?
最近、急に出店ペースが落ちた背景には何があるのでしょうか。
手軽さの革命——チョコザップの成功の秘密

チョコザップが登場したとき、多くの人が「これぞ私が待っていたジム」と感じたはず。
従来のフィットネスクラブの「敷居の高さ」を一気に打ち破ったからです。
ユーザーを惹きつけた3つのポイント:
- 月額2,980円の圧倒的な価格設定
高級ジムの3分の1から4分の1という価格で始められる手軽さ - 徹底した利便性の追求
「服装自由・靴履き替え不要」という従来のジムでは考えられなかった自由さ - 多彩なサービスのワンストップ提供
トレーニングだけでなく、セルフエステやホワイトニングなど美容サービスも(一部店舗)
こうした革新的なコンセプトが支持され、わずか2年半で1,782店舗、130万人以上の会員を抱える巨大チェーンへ急成長。
まさにフィットネス業界の革命児でした。
急成長の陰で見えてきた想定外の「コスト」

しかし、2024年に入り、その勢いに急ブレーキがかかります。
2023年度に904店舗だった新規出店数は、2024年度には400店舗台と半減。
この背景には運営上の「2つの誤算」が浮かび上がってきました。
誤算①:「手軽さ」が生んだ設備への負担
「普段着OKで気軽に」という利便性は、思わぬコストを生み出していました。
ビジネススーツやジーンズなどの普段着は、スポーツウェアと比べて繊維くずが出やすい特性があります。
これがランニングマシンの内部に蓄積し、故障率を高める原因に。
さらに、外履きのビジネスシューズやスニーカーは、ジム専用シューズと比べて床やマシンへの負担が大きく、チリや砂が機器内部に入り込み、故障リスクを高めていたのです。
あるユーザーはこう証言します。
「行くたびに『故障中』の紙が貼られているマシンが増えていって、最後には使えるマシンが半分以下になっていた」
誤算②:無人運営の想定外コスト
無人運営は人件費削減につながる一方、意外なところでコストがかさんでいました。
特に衝撃だったのは、2023年の猛暑時に発生したエアコン修理費用。
なんと月に1億円以上がかかったとされています。
さらに、トイレや給水機などの設備メンテナンスの頻度も想定を大きく上回り、急速な店舗拡大に対して保守・管理体制が追いつかない状況に。
「ドリンクサーバーが故障して水分補給できない状態が続いていた」 「故障報告をしても1ヶ月以上放置されていた」
こうした声が会員から相次ぎ、サービスの質にばらつきが生じていました。
利用者の声から見えてくる現場の実態

SNSや口コミサイトに寄せられた会員の声からは、拡大優先で見落とされていた課題が浮き彫りになっています。
衛生管理の課題
「除菌シートが乾燥していて使えない日が続いた」 「アルコールペーパーが普通のペーパータオルに変わっていて、除菌効果が心配」
特に感染症対策が重視される現代において、衛生面への不安は大きな問題です。
無人ゆえのマナー問題
「使用後にマシンを拭かない人が多くて不快」 「営業時間中なのに、大音量で音楽を流す人がいても注意する人がいない」
無人運営の弱点として、マナー違反に対する即時対応ができない点が浮き彫りに。
店舗ごとの格差
「駅前の店舗は混みすぎて息が詰まるけど、少し離れた店舗は快適」 「A店舗は清掃が行き届いているのに、B店舗は汚れたままのマシンが多い」
全国規模の急拡大は、店舗間の品質管理の差を生み出していました。
再起に向けたチョコザップの改革

こうした課題に直面したチョコザップですが、すでに改善策を打ち出し始めています。
1. 故障しにくい設備への移行
独自開発による耐久性の高い新型マシンの導入を進め、故障率を大幅に改善。
2023年11月時点で6.1%あった故障率を、わずか数ヶ月で1%未満にまで低減させることに成功しました。
2. サービスの選択と集中
- ドリンクバーの廃止:年間3〜4億円のコスト削減を実現
- 物流改革:店舗備品の配送を外部委託から自社配送に切り替え
- 広告・出店ペースの適正化:「量より質」へのシフト
3. 運営体制の見直し
RIZAPグループの瀬戸社長は「無駄が多かった」と率直に認めつつも、すでに事業の黒字化への道筋を立てています。
急成長期の「拡大最優先」から「持続可能な成長」へと軸足を移し始めています。
まとめ:革新的サービスの「持続可能性」を問う

チョコザップが提案した「手軽にフィットネスを楽しむ」というコンセプトは、多くの人の共感を得る革新的なものでした。
しかし、その革新性が思わぬ運営コストを生み出すという皮肉な結果も招いています。
今、チョコザップは「手軽さ」と「品質・持続可能性」のバランスを取る重要な局面にあります。
出店ペースを抑え、既存店舗の品質向上にリソースを集中させる今回の方針転換は、長期的に見れば賢明な選択かもしれません。
利用者としては、自分の通う店舗の設備状況やサービス内容をよく確認し、期待値を適切に設定することが大切です。
そして何より、「手軽さ」と「品質」、どちらを重視するかを考慮して選ぶことがポイントになりそうです。
チョコザップの挑戦は、今後のフィットネス業界の在り方を問う重要な試金石となるでしょう。
この改革を経て、どのようなサービスへと進化していくのか、引き続き注目していきたいと思います。