ヌートリアって何?全国で被害拡大中の外来生物とは(捕まえると報奨金あります)

ヌートリアって何者?

「ヌートリア」って聞いたことありますか?

近年、日本各地でじわじわと問題になっている動物――それがヌートリアです。
見た目はちょっと可愛い大型ネズミ。
でも実は、農作物を食い荒らし、自然環境やインフラにまで被害を及ぼす“外来生物”として、各地の自治体が頭を悩ませています。

そして今、このヌートリアを捕まえると報奨金がもらえるという制度が話題に。
「知らなかった!」「本当にお金がもらえるの?」と興味を持つ人も増えています。

ヌートリアってどんな動物?

ヌートリア

「ヌートリア」という名前を初めて聞いた人も多いかもしれません。
見た目はビーバーや大きなネズミのようで、水辺を好む南米原産の生き物です。

もともとは毛皮用に輸入された外来種で、戦後に養殖が廃れた後、各地で野生化。
現在では西日本を中心に、日本全国へ分布を拡大しています。

  • 体長:約50~70cm
  • 体重:5kg前後
  • 特徴:オレンジ色の前歯、水かき付きの後足、水辺を好む

環境省からは「特定外来生物」に指定されており、勝手に飼育や移動させることは禁止されています。

なぜヌートリアが問題視されているの?

ヌートリア

ヌートリアがここまで警戒されているのは、その繁殖力と食欲の強さがもたらす被害の深刻さにあります。

1. 農作物への深刻な被害

  • 田んぼの稲、畑のニンジン、サツマイモ、キャベツ、レタスなどを食い荒らす
  • 食べられるだけでなく、作物を倒されたり荒らされたりして収穫不能に
  • 被害報告は全国で年間1億円以上にも(※2008年時点)

特に水辺に近い農地では被害が深刻。農家にとっては死活問題です。

2. 生態系への悪影響

  • 水生植物(ヨシ・マコモなど)を食べ尽くす
  • 水鳥や魚の生息地が奪われ、生態系が崩壊する可能性
  • 在来の小型哺乳類や鳥類と生息環境が競合

「静かな侵略者」とも呼ばれるほど、見えないところで自然環境にダメージを与えています。

3. インフラ(堤防・水路)への被害

ヌートリアは土手に穴を掘る習性があり、堤防が弱体化し、決壊のリスクがあります。
実際に農業用水路の崩壊などの被害事例もありました。

実際どれくらいの被害が出ているの?

ヌートリア

被害が報告されている主な地域と、代表的な事例は以下の通りです。

地域被害の内容被害額(参考)
岡山県稲作・野菜・果物被害、インフラ損傷年間1,000~2,000万円規模
山口県田畑の被害・穴掘りによる道路崩壊など2019年:約507万円
兵庫県水稲への被害多数2008年:約5,000万円
愛知県豊橋市年間100件超の被害報告捕獲数増加中

このように、全国的にヌートリア被害が拡大中
新たな地域での分布確認も相次いでいます。

捕まえたらお金がもらえる!? 報奨金制度とは

ハンター

ヌートリアの増加を防ぐため、多くの自治体で捕獲報奨金制度を導入しています。
これは、ヌートリアを捕まえた人に報酬が支払われる制度です。
なお、捕獲については制限やルールもあるので、必ず次章もお読みください。

報奨金の金額の一例

自治体名報奨金額条件公式ページ
岡山市(岡山県)ヌートリア1頭につき1,000円以内有害鳥獣捕獲奨励金として交付。申請時期や対象鳥獣の詳細は公式ページ参照。岡山市公式サイト
岐阜市(岐阜県)情報なし小型鳥獣(アライグマ、ハクビシン、ヌートリア等)の捕獲には事前許可が必要。詳細は公式ページ参照。岐阜市公式サイト
岩国市(山口県)ヌートリア1頭につき3,000円岩国市ヌートリア等捕獲従事者証または有害鳥獣等捕獲許可証を所持し、適法に捕獲・処分した者。岩国市公式サイト
佐倉市(千葉県)情報なしイノシシによる農作物被害防止のため、わな免許取得や電気柵等の設置費用を補助。詳細は公式ページ参照。佐倉市公式サイト
山陽小野田市(山口県)ヌートリア1頭につき2,000円市内で適法に捕獲し、確認資料(尾)を提出した者。山陽小野田市公式サイト

※報奨金の金額や条件は変更される可能性があります。最新情報は各自治体の公式サイトでご確認ください。

注意点:勝手に捕まえるのはNG!

NG

報奨金が出るからといって、誰でも自由に捕まえていいわけではありません
ヌートリアは特定外来生物のため、例として以下のルールが必要です。

  • 狩猟免許 or 駆除許可(自治体からの事前許可)
  • 罠設置には安全管理の知識と許可が必要
  • 証拠写真や尾の提出が求められることも

法律違反になると罰則があるため、必ず自治体にご確認の上、正しい手順を踏んでください。

まとめ

ヌートリア
  • ヌートリアは南米原産の外来生物
  • 日本の農業や自然環境、インフラに大きな被害をもたらしている
  • 現在も被害拡大中で、報奨金制度による駆除が各地で行われている
  • 捕獲には許可が必要。制度の利用はルールを守って!

「ヌートリアって何?」と思っていた方も、この記事を通してその影響力の大きさと、日本全国での対策の現状がわかったのではないでしょうか。
報奨金制度なども含めて、今後の外来種対策に注目が集まっています。

もしあなたの地域でもヌートリアを見かけたら、自治体に相談してみましょう。